ミッシング・ムーン・キング
◆ プロローグ
雲一つも無い夜空に、満天の星がキラキラと瞬いている。
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辺りは草木が一本も生えておらず、見渡す限り岩と石が景色を彩っているが、今は暗闇で何も見えない。
見えるのは、上は星の煌きと下は大地の輪郭がうっすらと。
まるで大地すらも夜空と化しているようだった。
そんな真っ暗な荒れ果てた広野をただ独り――少女が歩いていた。
足元が良く見えないためか、デコボコしている地面に足を引っ掛け躓いてしまい、盛大に転んでしまった。
転んだ拍子で、少女が手に持っていた小袋の中身が地面に散らばってしまった。
しかし、 倒れた少女は落ち物を今は拾うこと無く、両手と両膝を地面に付けたまま、夜空を見上げた。
煌く星を見ているのではなく―――
本来そこに有るべきはずの“モノ”を銀色の瞳に思い映して―――
作品名:ミッシング・ムーン・キング 作家名:和本明子