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めっき

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「はい、ホームセンターDIEです」

「あのー、ちょっとお聞きしたいんですが」

「はい」

「えーと、なんて言ったらいいのかな・・・あるパーツというか、金具のような物を探してまして」

「はい」

「今、手元に1個あるんですが後3個必要なんですよねぇ、そちらで取り扱われているか確認したいのですが」

「はい、どのような金具でしょうか?」

「口で説明するの難しいなぁ・・・なんて言うか・・・山型になってまして、下の方は繋がっていないんですが・・・それで上の方の横に長細い穴が開いてまして・・・あ、下の方には内側に向かって突起部があります・・・・在庫されていますか?」

・・・・・

「えーと・・・どういった用途の物でしょうか?」

「用途はちょっと分からないんですよねぇ、今手元にあるやつは道具箱にいつの間にか入っててどこで買ったのかも覚えていないし・・・」

「では、どういった使い方をされるのでしょうか?」

「うわー、それはちょっと勘弁して下さい。ちょっと恥ずかしい使い方するので・・・その・・・まぁ、何かを挟んで止めるために使うんですけど」

「・・・すいません。もう一度見た感じを説明してもらってよろしいでしょうか?」

「はい、では・・・山みたいな形で・・・あっ、洗濯バサミっぽい形です、そうそう、これ何かに似てると思ってたんだよなぁ、洗濯バサミっぽい感じ!で金属製で滑らかで上の方の左右にに穴が2箇所開いていて、下の内側には突起部が左右あります。さぁ!どうです?」

「・・・洗濯バサミではないんですよね?」

「違いますっ!可動部分はありません。あくまで形が洗濯バサミに似ているっていうだけです」

「大きさはどの程度ですか?」

「うーん・・・小さめの洗濯バサミぐらいですね」

・・・・・

「すいません、何cmぐらいですか?」

「そうですねぇ・・・5cm・・・いや4cmぐらいかな」

「金属製なんですよね?」

「はい、テッカテカです」

「・・・申し訳ありません。折角ご説明いただいたのですがちょっと分かりかねます」

「ええー、そりゃないですよー!無いんなら諦めもつきますけど、分からないっていうのはちょっと・・・」

「ではお手数ですがお手元にある実物をお持ちいただけますか?」

「いや、時間がちょっと無くてぇ、もしそちらに行ってなかったら間に合わなくなっちゃうんでぇ、だから電話で確認してるんです!さぁ、有るんですか?無いんですか?」

「う・・・」

「どっちなんですか?」

「もう一度チャンスをいただけませんか?見たままじゃなくて、さっきの洗濯バサミみたいっていう説明のように、何かに例えるとか、印象を伝えてもらえませんか?」

「なるほど、その方が判りやすいかもしれませんね、では思いっきり自分の言葉で説明しますね。まず野菜で言うとナスっぽいです」

「え?紫色なんですか?」

「違います!あくまで雰囲気です。形状とか色とかじゃなくて僕の抱く印象です」

「・・・・なるほど、続けてください」

「音楽で言うと、バラードですね、どこか物悲しい雰囲気があって・・・そう失恋の歌のようです」

「・・・・・」

「女優で言うと・・・赤根京さんっぽいですね・・・あ、ちなみにAVの方です。幼い顔してるのに意外に豊満なボディーの持ち主で後ろ姿、特に腰からお尻のラインにかけての安定感のあるシルエットがそっくりです。この部品みたいな女優さんが出ている作品を借りて大外れすることはないと思いますよ」

「部品みたな女優・・・・?」

「お菓子で言うと、うーん、ルマンドみたいな感じです。いや何層もなっていてサクサクしているわけじゃないんですけど、お菓子界におけるルマンドの位置=部品界におけるコレの位置という印象です」

「部品界?」

「うーん、これ以上ぐだぐだ説明しても判らないと思うんで、このパーツをポエムにしてみたいと思います」

「ポエムッ?!」



鋼鉄の虚ろは
愛の鋳型

艶かしい曲線は一切交わりもせず
めらめらと銀色に
君の心を映す鍍金

名も知らぬ感情
いずこのマーケットに有るや・・・

そげのように刺さるべき音
鼓膜を求めて彷徨う

選択に似た行為を迫られ
震えし受話器の向こう
声が届くまで悠久

その悠久を経てゆうくりと
すべてが金属と化していく
音 光 色彩

そして感情までが
メタルと化す

私は万物のパーツ
・・・の一部

その身の裏に刻まれしは
原罪の番号?
A201-Sなる番号・・・あれ?

「すいません・・・なんか番号が書いてありまして・・・A201-Sって書いてます」

・・・・・・

「在庫ございます」
作品名:めっき 作家名:或虎