球体地獄
Ice man heart
氷点に近づこうとしているようだ
この心……
君を想うたび
僕の体温は下がっていく
君の心が
アイツのものだと知って僕は
心温を下げることにしたんだ でないと僕は
嫉妬とやるせなさで
きっと
沸騰して死んでしまう
君のことを忘れること デキナイ
僕の世界の意味の大半は
だいぶ前から君が占めているんだ
だから
君の
後ろ姿
馬尾髪のたなびき
一握りに満たぬ細い首
小さくってタイニーな背中
僕を低温にさせる
もう考える力をなくしてしまいたい
振り向く笑顔
肌が光って見える
目を細めないと
君の笑顔を見ることがデキナイ
すべては残像
桜の花弁を満載した……樹氷のイメージなんだ……
水の分子がその有り様を変える一点
温度の一線
僕を
そこまで連れて行ってくれ
氷点のうえで僕は
心を凍結させたまませめて
君のしあわせを願う
叶わなかった想いを
37.2の微熱で
感じ続けてほしい
さようなら
僕はこうして
凍ったまま生きていくよ
世界は永遠に
春を失う