球体地獄
君を愛するための適温
「願いを叶える度に、お前の体温を頂くとしよう」
悪魔はそう言った
僕は肯んじて条件を飲む
勉強が出来るようになったよ
体温が36度になったけど……
お金持ちになったよ
体温が35度になったけど……
詩が上手くなったよ
体温が32度になったけど……
君と出会うことが出来たよ
体温が20度になったけど……
「悪魔よ。この子の心をおくれ」
僕は悪魔に願ったよ
「諾なり!代わりに体温をそっくり頂くぜ」
僕は冷たくなってしまった
動かない僕に触れて
君は泣いているのだね
もう見えないけれど感じるよ……
君が僕の為に泣いている
それを感じるんだ……
悪魔よ……
確かにお前は……
僕の願いを叶えたな