鏡像ロット
六つ目
なぜ死んではいけないのか
あなたはそうきくけれど わたしは答えを知らない
その問いは答えのある問いなのか それとも答えのない問いなのか
わたしには分からない
ただ あなたが死んでほしくないと思う
あなたが死ぬと わたしは悲しい
あなたが死んだとき きっとわたしはそのときを知らなくて
あなたの近しい人から知らせを聞いて はじめて分かる
あなたがこの世にいないなんて 信じられなくて
あなたと違う世界にいるなんて 実感できなくて
あなたが見る景色をおもって わたしの心はどこかへさまよう
そして あなたのひえた頬に触れて 指先が死に触れて
あなたが 死んでしまったのだと
許せない気持ち
あなたの傍にいれなかった自分、気づいてあげられなかった自分
あなたを殺した物、あなたの心を傷つけたもの
心の中でもう一人の自分が糾弾する
感情がおさえきれなくて 波が心を表現するとき
わたしの愛が あなたにはじめて届く
どうか死なないで
あなたを止める権利なんてもの ありはしないのだけれど