ほーろーき
虎一は無表情に自牌を見ている。木村の顔を見ようともしない。
「くっ」
木村、牌を一枚山から抜き取る。逡巡して牌を捨てる。
虎一、木村が捨てた牌に手を伸ばしつつ。
「ポン」
虎の鳴き声はポン。
木村、顔面蒼白。この虎は獲物がくたばるまで鳴き止まないという噂・・・
木村・・・牌を掴む。そして悲壮な面持ち。熟考。この捨て牌如何によっては勝負が決してしまう・・・木村は命を捨てる気はない・・・慎重に慎重に牌を吟味する・・・そして。
「どうだぁ!」
なかばヤケクソに牌を投げ捨てた・・・その牌、たった数グラムの無味無臭の直方体は、木村の命そのものだった。
虎は牙とも取れる銀歯を見せて静かに言った。
「ドンジャラ」
虎一が牌を倒す。そこには。
ドラえもん のび太 ジャイアン
全て同色で揃えられた必殺の役、同色3セットが完成されていた。