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オススメのBL小説ありますよ~たかがBL、されどBL~

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こんにちは。

 今日は今、読んでいる本をご紹介してみたいと思います。

 もう殆ど終わり近くまで読んできているのですが、

 まずは、あらすじを簡単にご紹介しますね。
                     
 幼い頃から、祖父に虐げられて育った朔ーさくーという男の子がいます。

 和服の似合う、ちょっと見には美少女にしか見えない美少年、14歳。

 そんな朔が月夜にめぐりあったロシア人男性。

 世界をまたにかけて活躍する青年実業家。

 彼はゲイで、月夜の下で見た朔をカグヤヒメと呼び、ひとめで気に入ります。

 朔の方も王子様みたいなイケメン男性にひとめ惚れ。

 彼は危うく少年好きのエロ親父に売られるところだった朔を祖父か引き取り、

 ロシアに連れ帰ります。

 彼の元で大切に育てられた朔ですが、彼がゲイにもかかわらず

 いつまでも愛人? にしてくれないので、自分に魅力がないのかと悩み、

 ついに告白して両思いに。

 しかし、彼には世界中に〝恋人〟がいて、自分はその中一人でしかいことに気づき、

 落ち込むのです。が、彼にそれを訴えて、困らせたくなくて黙っていました。

 彼の側にいられるだけで良いと考えたから。

 更に月日は巡り、朔は二十歳になりました。

 彼の都合で一時、日本に帰国していた間に、赤ちゃんの頃に引き離された両親と再会し、

 両親も彼の帰りを待ちわびていたことから、実の家族の元に帰ります。

 そこで、朔は自分がただ守られているだけ、与えられていただけの人生であった

 ことを悟り、これからはもう受け身ではいないと決意します。

 好きな彼ーヴィクトルの心を勝ち得るために、たった一人の恋人になるために

 勉強して彼の会社に入り、秘書となる努力を始めました。

 そこにヴィクトルが現れ、自分は朔だけを愛していることに気づいた、

 失って初めて、その存在の大切さに気づいたと打ち明けます。

 だから朔に戻ってきて欲しいと頼むのでずが、朔は断ります。

 ボクはもう、我慢しているだけの人形は止めました、あなたの心を得るために

 努力します。。。と。

 今、読んでいるのは、ここまでです。

 そう、この小説はBLです。いわゆるボーイズラブですね。

 もう、これを聞いただけで、読まないと思われる方もいると思います。
 
 私はBLもたまに書くので、もちろん、そんなことはありせん。

 私の場合は、意識してBLを書くというよりは、たまたま考えた設定にあてはめた時、

 男女間よりもBLで書いた方がしっくりくるだろうな、と感じたときに書きます。

 なので、本当にたまにしか書きません。

 自分が書くくらいなので、もちろん読むには抵抗はありません。

 この作品、実はあまり期待―作者さん、ごめんなさいーしないで買ったのですが、

 結構、良かったです。

 きわどい描写もいっさいなく、ごくふつうの恋愛小説として楽しめました。

 何が良かったかというと、主人公の朔が最後にヴィクトルの心を勝ち得るために

 自分なりの努力を始めたというところですね。

 男対男に関係なく、これを男と女に当てはめて考えてみてください。

 好きな人にもどってきてと言われて、断る人はいないだろうと思います。

 私だったら、決心なんてすぐに揺らいで、その言葉でもどってしまうだろうと思います。

 でも、朔は自分の意思でヴィクトルの側に戻ることを断り、

 きちんと入社試験を受けて合格してから、秘書になるのだと言い切りました。

 なかなか言えないし、できないことだと思います。

 ―僕は、このとおり世界でも有数の資産家で、大抵のものを手に入れることが゜できる

 幸せな男だ。でもね、金の力で手に入れられない幸福があることは知っている。

 そして、金があるからこそ得られない種類の幸福があることも知っているんだ―

 ヴィクトルが朔の存在の大切さに気づいて、戻ってきて欲しいと彼に頼んだ時、

 朔に言った言葉です。

 更に本文はこう続いています。

 ―欲しいものは何でもあっさり手に入れられる。でも、この世には、欲しいものを

 手に入れるために、何十年もの間必死に働く人もいる。

 そんな人が目的を果たし望むのを手に入れたときの歓びや達成感を、

 自分は一生理解することはできないだろう。―

 ヴィクトルの心情を的確に捉えた言葉ですね。

 まだ最後では読み終えていませんが、この作品を読んだ後、

 何ともすがすがしい気持ちになります。

 単なるBLだろうと甘く見ていた自分が恥ずかしくなりました。

 これは身近にあるもの、いる人の存在に気づくことの大切さ、

 更に夢や目的に近づくためには、ただ幸運を待っているだけでなく、
 
 自分からも動いて努力しなければならないということを語りかけてくれます。

 世の中には、眼を背けたくなるような描写ばかりのBLが出回り、

 その評価がBL全体の価値を落としているような気がします。

 これは別にBLに限らず、どのカテゴリでも同じです。

 いわゆる官能小説とを否定しているわけではなく、見るに堪えないポルノ的な描写の

 連続だけで終始する小説のことです。

 この小説は一つの文学作品として十分に鑑賞に耐えられる秀作だと思いました。

 あ、誤解のないように申し上げますが、

 私、何も同性愛に賛同しているわけではありませんよ!

 ただ、小説を書いているという立場上、少しは容認できるといった程度で、

 もし知り合いや自分の身内がそんな道に入ったら、

 やはり止めるだろうと思います。


    
  ☆ 憂える姫の恋のとまどい  黒崎あつし著

        幻冬舎ルチル文庫