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つゆかわはじめ
つゆかわはじめ
novelistID. 29805
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蒼空の向こう

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「先生・・・もう逢えないの?」

「幸せになりたいだろう?」

「うううっ・・・先生・・・」

「歌って・・・麻美・・・この世の果てに・・・」

「うぐっ・・・ううっ・・・先生・・・愛してる・・・先生・・・愛してる・・・」

 僕は受話器を持ったまま、椅子に座ると、天を仰いだ。
 麻美の泣きじゃくる声が、僕の胸を締め付けた。ふと、泣き声が止み・・・小さく震える声で、麻美が歌い出した。

Why does the sun go on shining?
Why does the sea rush to shore?
Don't they know it's the end of the world
'Cause you don't love me anymore?

 声は掠れ、言葉はとぎれる。電話の向こうで、麻美は精一杯、歌っていた。
 僕は、溢れる涙を堪えなかった。湧き出る涙が、頬を伝い、首筋へ流れ落ちていく。それは肩を伝い、左胸を濡らした。

Why do the birds go on singing?
Why do the stars glow above?
Don't they know it's the end of the world
It ended when I lost your love.

 南米、コスタリカに生息する蝶・・・世界一美しいと言われる、幻の蝶・・・ブルーモルフォ。
 僕は、その美しい蝶を取り逃がしてしまった。僕は、愛を注ぐ事を恐れた。
手を差し伸べさえすれば・・・。

あさみの歌声が、優しく耳を擽った。

「・・・愛している」

 僕は、受話器を静かに置いた。



作品名:蒼空の向こう 作家名:つゆかわはじめ