名づけられた世界
約束
「この卵は君が預かってくれ。そしてこの樹は絶対枯らさないでくれ。」
とある神がそう言っても、少年はまだ口をあけていた。
もう少し辛抱強く説明したいところだが、早く睡(ねむ)ってしまいたかった。
「では、頼んだぞ。」
存在を思い出したかのように、少年が慌てて尋ねる。
「ちょっと待って!君は何者なの?どこへ行くの?また会える?」
「あぁ、会えるとも。その卵が孵るまで、この樹を枯らさないでいてくれればな。」
ある意味これは小鳥からのちょっとした試練のようなものだった。
少年が、この小鳥の意志を継いでくれる存在ならば。
きっと彼はアダムとイブの代わりになれるのならば。
「わかった。」
少年がまっすぐ言ってくれたおかげで、とある神は心地よく眠りにつくことができそうだった。