無気力くんとポジティブくん。
私が部屋に戻ってくると、
ポジティブが手をつないできた。
「よし。あと少しだ。」
そういいながら笑顔を向けられ、私も少し嬉しくなる。
そのままいつも通りを過ごしていると
急に無気力がポジティブを押しのけ
わたしを抱き締めてきた。
「ごめん。」
「……うん。」
数秒抱き合っているとポジティブが声をかけた。
「なあ、」
「わかってる。」
無気力はポジティブが何を言いたいのが分かってるらしく
喰い気味にすこし声を張り上げた。
するとポジティブは何も言わず無気力の頭を撫でた。
そして、
「もう、そっちじゃなくてこっちにこい」
と私の手を引き、抱き寄せた。
「お前の気持ちもよくわかるけど、前に進もう、な。」
私はその言葉にゆっくりと頷いた。
その時頭が撫でられ、「またな」という無気力の声がした気がした。
「ゆっくり、戻っていうこうな。」
ポジティブの笑顔を見て、私も自然と笑顔になった。
作品名:無気力くんとポジティブくん。 作家名:蓮観