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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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小さな庭ではあるが、池がある。池のなかには錦鯉が3匹泳いでいる。
盆休みが10日ほどあるので、その池の掃除を始めた。
例年なら庭師に頼むのだが、その庭師が海外旅行に出てしまった。
物置から水中ポンプを出し、池に入れた。その水は庭木に流した。
池は長さが3メートル幅が1.5メートル。深さは70センチ位である。
ポンプが小さいのか時間がかかる。
午前9時に始めたのだが、30分経っても水は残っている。
私は池に入り、バケツで水を欠きだした。
気温は30度を超えているだろう。
麦わら帽子の下のタオルで、顔の汗を拭いた。
それでも汗はどこからともなく池のなかに落ちて行った。
労働で汗をかくのは久しぶりであった。
シャツもパンツも汗と水で滴り落ちるほどである。
「熱中症にならないように気をつけてください。こんな暑い日に馬鹿みたい」
妻の言う通りかもしれない。
冷房の利いた部屋で仕事をし、汗をかくのはほとんどない。
金のない大学時代建築現場で働いた頃の汗を思い出した。
汗をかいた分金になった。
私は今の自分を幸せと感じた。
今日の汗は報酬を求めない汗であるからだ。
鯉を捕まえ、池のアオゴケを洗い、池に水を入れ終えると、12時を過ぎていた。
妻がそうめんを作ってくれた。
池の錦鯉の赤白の色がくっきりと見える。
庭でそうめんも食べるのは初めてであった。
作品名: 作家名:吉葉ひろし