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ありがとう 愛車殿

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暑い夏の日の休日

窓 全開にして 蒼い空 白い雲を恨めしく眺めながら
生ぬるい風を感じて最後のドライブを楽しんだ

私の生活の足だった相棒 パジェロミニ 
彼とは10年以上という歳月を共に過ごしてきた
正しくは10年9ヶ月21日

明日は 彼の仕事納め 新たな再生への期待の時
感慨も深い 

千葉の長閑な住居地 都会とは違い
どこへ行くにも彼なしでは考えられない
ドライブ好きな私には無くてはならない存在だった

10年 生きてくれば人生もそれなりに色々な事があり
その度に彼に慰められて私は今に至る

辛い時 泣きながら海岸道路を走り
嬉しい時 鼻唄歌って 
苦しい時 ただひたすら夜明けまで走り続けた

引っ越しの時 たくさんの荷物を積んで

旅行の時 子ども達と 父と クロと 
海に山へと北から南
そしてJYJのひたちなかのコンサートへも

時に彼は身体を張って私を守ってくれた
大なり小なりの傷や怪我を負いながら
彼は優秀にもゴールド免許を私に齎してくれた

車の中には心地よい音楽が流れている
彼との思い出は尽きない 

最後のドライブは間もなく終える

彼の身体をきれいに洗って中もきれいに仕上げた
そして私は長年連れ添った彼に敬意を表して頭を深々と下げ
ありがとうと彼のグリーンのボディーにKISSをした

また 新しい車として帰ってくる事を願って….
作品名:ありがとう 愛車殿 作家名:蒼井月