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【黒バス】黒子の怪談

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ホントウの……




 敦が頑として部屋に帰りたがらないから何をしているのかと思えばお前達は……そんなに納涼体験が恋しいなら存分に楽しんでくるといい。



 まず、真太郎達は東へ向かい市役所駅まで行け。そうすると河原町通に当たるからそこを河原町の駅まで下れ。四条通を左に折れて祇園まで行くと八坂さんに当たるから今度は東大路を再度下り、清水道の信号を右に折れたここが目的地点だ。……何、ほんの2km程度、歩いたって片道30分の距離だよ。走るにはちょうどいいだろう?
 ああ、これを忘れずに。こんなこともあろうかと用意させておいて良かったよ。
 高尾は初めて見るかい? 確かに松に似ているが違うな。槇だよ、高野槇という植物だ。真太郎も見るのは初めてか。
 ちゃんと行きは下ろして、帰りはこう、葉を上に向けて帰ってくるんだ。……まあ、一体何が乗ってくるかは僕も知らないが。


 何を乗せて帰ってこようが構わないが、あの辺りは『穴』が多いから気をつけて行っておいで。墜ちてしまってはその真太郎のラッキーアイテムが役に立つか解らないからね。



 次は大輝、涼太……何か文句があるのか、大輝?
 別に涼太独りで行かせたかったらそれでも僕は構わないけれど……そう? いい子だ。
 そんなに複雑なルートでもないしちゃんと地図も用意してあるから。敦、マーカー取ってくれ。
 お前達は西だ。真っ直ぐ進んでいくと二条城に突き当たるのでそこを上る……ああ、門や塀を登るなよ。上るっていうのはこちらでは北に進むことを言うんだ。南にはタワーが見えていると思うから背中を向けていればそれが北だ。……見えたかな? ……まあいいや。幾らお前達でもこんな単純なルートで迷わないだろう。
 交差点を四つくらい過ぎると一条通という一番『端』に辿り着く。通りに並走して申し訳程度の河が見えていると思うが、そこまで行くと小さな橋が掛かっているんだ。
 ……ふぅん、涼太の癖に知ってるのか。なら話は早いな。
 そこでなんでもいいから捕まえておいで。大輝は得意だろう、そういうの。いや、蝉や水棲生物を捕えてくる方が案外難しいと僕は思うよ、涼太。

 ああ、折角だからそこの……桜井か、彼も連れていけ。
 涼太じゃ『餌』には若干弱いからな。彼ならちょうどいい感じに『美味しそう』だ。……大輝、お前はザリガニを釣りに手ブラで行くのか?
 ……お前の『性能』なら二人くらいは平気だよ。



 さて。
 そんな目で見たって駄目だぞ、テツヤ。元はといえばお前が元凶だろう。
 安心しろ、距離は一番短い。しかも東大路までは真太郎達と同じルートだ。四人で一緒に行けばいい。更に言えば別に何か持って帰って来る必要はないよ。
 ここの交番で六道組と別れたら右に折れて二人でこの神社まで行っておいで。中に石があるからそこにこの形代を貼ってくればいいんだ。……行けばすぐに判るよ、大きな石だから。別に火神が怖がるようなものは何もないところだよ。『そういうもの』ではないから。
 なんでちょっと残念そうなんだい? テツヤ。



 ――切れるかどうか、本当に楽しみだよ。
 必ず二人で貼るんだよ?


作品名:【黒バス】黒子の怪談 作家名:天野禊