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車の窓から

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☆ゴミを拾う青年

運転中の私 
本当は前を向いて集中して運転をしなくては行けないのだけれど
つい景色などに眼が行ってしまう(危険だから皆さんはしないで下さいね)
通勤の途中にはいろんな景色がありまして….
何しろ千葉の長閑な街ですからちょっとビル街を抜けると梨畑や林?
または牛が何頭もいる牧場を通り抜ける 
この景色は四季折々にそれはもう心地いいのです

近くには高校があり制服を着た学生たちが大賑わいですれ違う
その中に彼はいた 学生たちに紛れて 

スーパーの袋を持って自分が通ってきた道のごみを黙々と拾い歩く彼
見た目で歳を言うなら30前後なのだろうか…. 
名前も年齢もどこ誰なのかは知らない
ただ毎日同じ時間に雨の日も風の日も天気の良い暑い日でも…
彼はひたすらせっせとゴミを拾い歩いているのだ

それは30分以上かかる駅から続けられてくるようだった
何度か彼が駅から出てくる姿も目撃していたし
その近くでごみを拾う彼の姿も見かけた

彼は同じように生まれてくる人の中で神様に選ばれて特別な遺伝子を
プレゼントされた人のようだ 

周りの人達は彼をおかしなひとと見ている だから見て見ない振りをしている
彼の行動は決して誰からか言われてしている訳でもなく自分から進んでしている事
私は彼が素敵なひとだと思う 

1日も欠かさず続けている行動に 道をきれいにしようという行動に
感銘さえ感じる

けれど私も周りの人達と同じ
そうは言っても 車の窓からそれを見ているだけのひと

ある日 

いつもの様に私はその道を通る
やはり彼もいつもの様にゴミを拾い歩いている

信号待ちの渋滞で彼の近くで私の車は止まった 
彼はせっせとゴミを拾っている
私はそれをいつもの様に見ている

クーラーの利かない車 窓は全開 
彼が近くにいる 

私の心が勇気を出せと堰(せ)かす
チャンスなのだと急(せ)き立てる

信号が青に変わった 
車が動き出す その時

私の勇気が
「いつもありがとう」と言葉になって口をついて出た

彼がにっこり笑って私の車に向かってお辞儀をした
そして彼はまたせっせとゴミを拾い始めた
作品名:車の窓から 作家名:蒼井月