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DESTINY BREAKER 一章 2

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「・・・。」
街を一望できるほどの小高い丘の上に、一つの影が存在している。
青年ほどの体躯であろう影は、風の声を聴く
「・・・急がねば。」
影が呟いた刹那、一陣の風が丘の上を駆け抜けた。
影は風と共に消えた。

「いい桜花。」
何処からか女の人の声がする。
「もし、あなたが何か大きな運命に飲み込まれそうになっても。」
誰の声だろう?
何の話だろう?
「きっと守ってくれるから。」
なんで、悲しいお顔をするの?
なんで、目から涙が流れているの?
「きっと助けてくれるから、きっと―――。」
抱っこしてくれるの?うれしいな
「ごめん・・・ごめんね桜花・・・。」
なんで、ごめんなさいしてるの?
何か、悪いことしたの?
じゃあ、私がいい子いい子してあげるね
あっ笑った。うれしいのかな?
わからないな、わからないけど
私はうれしいな
「・・・愛してるわ・・・桜花。」
うれしいな
でも
「さよなら。私の愛しい○○。」

―――あなた・・・だあれ?



「・・・ぅかちゃん、ねえ桜花ちゃんったら、起きないと・・・。」
隣から何か声がするなぁと、桜花は目を細めて声の方向を確認した。
だらしなく四方に垂らされていた長髪が、一斉に向きを変える。
「なぁんだ、ナツかぁ・・・頼むから、もう少し・・・寝かせて。」
半開きにした瞳で愛らしい友の顔を確認すると、桜花は体の向きを変え、再び意識を睡眠に集中させようとした。思えば、最近十分な睡眠を摂れていないことが多く、惰眠を貪る現在の状態を出来得る限り継続させたいと判断した。
そういえば、惰眠を貪るのは能動的なことだけど自分の場合、今の状況は受動的、すなわち我慢ができないから惰眠に貪られているのかな?などと、呑気なことも考えていた。

「ねえ、桜花ちゃん。起きて。」
友の声は尚も、鼓膜を刺激する。しかし、睡魔を追い払えるほどの力は無し。
今は十二月の初旬、十二月、師走。
師走、ストーブ、ブルジョア、アイスクリーム、無視。
聞こえる声はとりあえず無視しよう。そしてしりとりの続きは勿論、
「・・・・・・至福。」
「でも桜花ちゃん、先生がこっちに。」
「んー?先生??」
作品名:DESTINY BREAKER 一章 2 作家名:翡翠翠