ひとつだけやりのこしたこと
その日のうちにわたしたちはマイフレンドになり、自己紹介をした。
わたしは離婚したばかりだった。さとみはいままさに夫に捨てられようとしていた。
最初は遠慮がちだったミニメールはすぐに、ほとんどチャット状態になった。
外部のサイトを使ってメールアドレスを伝え、メールのやりとりは簡単になった。
わたしはさとみの電話番号を尋ねた。
そして深夜にかけた電話口でいきなりさとみは泣き出した。
言っていることがよくわからなかった。わたしは一時間以上、ただ聴き続けた。
作品名:ひとつだけやりのこしたこと 作家名:つだみつぐ