母胎回帰
丸まっていた時を思い出したい
君という概念を棄てて
君という根源に還りたい
耳も鼻も目も口も
まっさらな荒野になればいい
血も骨も毛も皮膚も
地平線に戻ればいい
痛い、苦しい、寒い、怖い、
脈動はガスを運ぶ
精神が片輪になってしまったら
一生の罪を負わなければならない
誰に告白することもかなわない
虚の気持ちを言葉には出来ない
存在しない曖昧な「君という何か」が中にいる限り
胸の穴は塞がれることはない
君の姿形さえ思い浮かべることは出来ない
まとわりつく甘い安穏が永久に喉を刺す
そして 私の胸にはただひたすらに
幾何学的紋様がぐるぐると、点滅して走っている