生きててほしい。
今も雨と紫陽花の風景は鮮やかに蘇る
虫食いの葉っぱばかりの大きな桜の木の下で
軽く交わした口づけ
まだ帳の降りる前
かすかに寂しい眼差しを残して・・・
貴方の後姿を眼で追いかける
角を曲がる
ふと振り返り、傘を少し掲げて消えた
生まれたままの、そのままで
膝にすっぽり包まれて
貴方は話をしてくれた
おねだりの抱っこは
いつの間にか膝の中
ゆるゆるした心地は全ての私を包み込んでいるようで
安心と幸せと歓びだけで満杯だった
あの幸せが有るから
あの幸せが在ったから
今、
充たされて 貴方と共に居る
幻想で在ろうが、過去の出来事で在ろうが
充たされて 貴方と共に居る
だから
次に進む
次に挑む
次に、幻想を抱く
その幻想は、私の歓喜
その幻想は、私の未来
何も無くて良い
私の心は充たされて充分に笑みが浮かぶ
あれから２年と少し
生きててほしい
それだけで充分
生きててほしい・・・。