少女
真夏の太陽が雲間に隠れてあぶらぎった反射のないアスファルトの色を見せている。
真白い靴は、その上を跳ねるように歩き回り、宙を浮いているような錯覚さえする。
白い服の少女。
赤毛色の混じる黒髪はツインテールに結んでいる。
胸元が大きく開いたドレスに幾重にも白いレースの衿が重なっている。
きっと白く美しい肌だろうが衿がそれを見せることを阻んでいるようだ。
指先まで覆い隠す長さの袖は掌の形すら表面に見せない。
フリルの重なったミニスカートとふわふわしたオーバーニー(膝上ソックス)の間を
白いタイツが隠している。
広いつばに大きなリボンの白い帽子は、顔が隠れるほど揺らめいた。
白いドレスにまけないほど透き通るような白い肌の顔。
深い湖のようなサファイアブルーの瞳。あどけない顔つきに不似合いな真紅な唇。
見つめられれば、大きな目と口だけに視線を奪われそうだ。
そんな少女は何?何処から何処へ行くのだろう。
雑踏の中、少女を見つけ擦れ違い、振り返り見るが姿はない。
幻でも見たかのようにそのあと気にかけるものは…たぶん…いない。