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ゆうちゃん

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ゆうちゃんはかわいい。
 ゆうちゃんは私の小学校の頃からの友だちで、5年生のときに一緒のクラスになった。中学2年生の今も同じクラスで、同じ部活をしている。
 ゆうちゃんは明るくて友だちが多い。顔は、多分、皆にしてみれば特にかわいいというわけではないんだと思うけれど、私はテレビに出ている芸能人よりもゆうちゃんの方がかわいいと思う。
 私は内気で友だちが少ないから、ゆうちゃんは私の大切な友だちだ。
 私とゆうちゃんはそう決めているわけでもないのに、3か月に1度くらいのペースでけんかをした。私が一晩経てば怒っていたことを忘れるタイプなのに対して、ゆうちゃんはちょっとわがままで頑固なタイプだ。へそを曲げてしまったゆうちゃんと仲直りするのは少し大変だった。ゆうちゃんは怒っている間は私のことを無視して逃げてしまうので、私はゆうちゃんの機嫌が直るまで待たなければいけなかった。機嫌が直るとゆうちゃんは私に対するガードを緩めるので、私はそのタイミングで謝り、仲直りをした。
 ある日、私とゆうちゃんはまたけんかをした。理由はくだらないことだったので忘れてしまったけれど、ゆうちゃんが一方的に怒っていたように思う。ゆうちゃんはやっぱりなかなか機嫌を直してはくれなかったけれど、このけんかのときはどこかいつもと様子が違った。いつもは話しかける隙も与えず私から逃げてしまうゆうちゃんが、私がいるところで友だちと話していたり、手持ち無沙汰にしていたり、隙だらけだった。そのことに気付いたとき、私のゆうちゃんに対する思いが大きくなった気がした。ゆうちゃんは私に甘えているんだ。ゆうちゃんがどうしようもなくかわいく思えた。私はゆうちゃんを呼びとめて、人の少ないところでゆうちゃんに言った。
「ゆうちゃんが好き」
 だから仲良くしたい、無視されると辛い、そう言った。ゆうちゃんは少し驚いたようだったけれど、にっこり笑って私の手を取った。ゆうちゃんが私の手に触れた瞬間、お腹か胸のあたりがぞくぞくした。ゆうちゃんに手を引かれて歩き出す。部活の先輩が私の話を聞いてしまったみたいだったけれど、気にならなかった。私はただゆうちゃんのことで頭がいっぱいだった。
作品名:ゆうちゃん 作家名:さくら