ネイルチップ
角度を変えてみたり
光に反射させてみたり
指をうねらせてみたり
僕の腕を甘く引っ掻いてみたり
自分の爪じゃないみたいって
誰に言うでもなく呟く
PCのキーボードを打つのがとても大変そうだとか
すぐとれてしまいそうで何も出来ないとか
不満を言ってるはずなのにその声は楽しそうで…
たまたま仕事帰りに寄った店で買ったネイルチップ
こういうのに疎い君だから
どんな反応するか知りたいと思ったんだ
本当はその指に触れていたかっただけかもしれない
君のもう片方の手も捕まえて
僕は同じ作業を続ける
シールを貼ってチップをつける
形を揃えて出来上がり
終わっても僕の膝から降りない君
背後からじゃどんな顔してるのかわからないよ
心配して声をかければ
もう少し一緒にいたいのだと答えが返ってくる
そんなこと言われたら離れられるわけなんてなくて
宅急便がきたけど…居留守した