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池本浩一
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涙のわけ / 詩のようなもの
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夜
月が出ている
心のように
かがやいている
孤独のように。
いかがわしい
界隈の
いやらしい曲り角で
片手に
手斧をもった
ドストイエフスキーにであった
「もう何年も
誰とも話をしていないんだ」
「へえ そうかい」
奇遇というものはあるもんだ。
月が出ている
闇をあつめて
橋のうえに いっぽんの
外灯が立っている。
作品名:
涙のわけ / 詩のようなもの
作家名:
池本浩一