涙のわけ / 詩のようなもの
言おうとして
言おうとして
言えなかった言葉が
胃の腑のあたりにつかえて
地面が急に
ちかくなる夕べ
水中でもがくみたいに
思いのやり場が
どこにもない
ただただ凄い西日に照らされ
きみの猿のような手を
想い出してる
ゆうぐれ
屈辱をいっぱい溜めて帰る
Rolling Stonesを聴きながら
言おうとしていえなかった
気持ちを掻き乱すみたいに
言わずもがなだった言葉に
追い立てられるみたいに
デコボコの愛車を駆って
明日は頭髪を刈って
夜になれば
ウイスキーを飲みつつ
屈辱を少しづつ溶かす
言おうとして言えなかった言葉が
鮮烈に蘇る
作品名:涙のわけ / 詩のようなもの 作家名:池本浩一