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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ (続)

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 毎日の二十四時間が少しずつ短くなっていくようだった。
 それまでは一日をのーんびりと、家事や育児に費やしていれば良かったし、考えることと言えば子供たちのことがその八十五%を占めていて、残りが徹さんを含めたその他だった。
 人前で話すなんて絶対できないと思っていた私が、何十人もの人の前に立ち、体験談を語ったりするようにもなり、次第にその快感まで覚えていった。
 私が仕事で忙しい時、帰りが遅くなる時、菜緒は変わらず妹と弟の面倒を良くみてくれた。しかし、次男は常に連れて歩いていたし、菜緒とは年も離れていたから、他の二人程には接触がなかった。そのせいか、その後、私と菜緒が徹さんと別れてその家を出たあと、次男の記憶の中に菜緒は存在していなかったらしい。
 私の仕事が忙しくなればなるほど、私の毎日は充実して行ったが、それに反比例するように、徹さんの、私や菜緒に対する態度は冷たいものになっていった。
 ある時、仕事で頑張って成績を上げた人だけが特別価格でアメリカへ行けるキャンペーンがあって、私は頑張ってそのチャンスをゲットした。ちょうど子供たちの春休みの時期だったので、徹さんも渋々ながらも承知してくれた。もちろんその旅行で私が留守にする間は、菜緒が下の子供たちの面倒をみてくれた。
 しかし、それを聞いたお義母さんからは、「小さい子供たちを置いて、一人だけでアメリカへ行くなんて」などと嫌味とも取れるようなきついお言葉を頂いた。
『普段こんなに頑張っているのに、たまのご褒美を貰うこともいけないの?』と、反発心がむくむくと湧いてきたが、ぐっと堪えて胸に抑えた。