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おやまのポンポコリン
おやまのポンポコリン
novelistID. 129
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子供の将来

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「そう言うたら、このへんも不良が増えたなあ」
 まだ焼き足らないカルビをせわしなく裏返しながら浩司が呟いた。

 「せやね。隣の角さんの経営する駐車場でも、集まってたらしいわ」
 別メニューの煮魚を、義理親達に出しながら真奈が相槌をうった。
 
 「なんや母さんら、また別メニューかいな? 真奈が毎日大変やんか」
 
 「私はともかく、父さんはコレステロールを気にしてるんや。」
 浩司のボヤキを節子が軽く受け流した。
 
 「そらそうですわ。お父さんにはDHAが豊富な青魚が健康にええんですよね」
 笑顔で同意を求めた真奈に対して、
 「だいたい私らはそのニンニク臭いキムチが嫌いなんや。そんでもって真奈さん、この味噌汁、ちょっと少し塩からいんとちゃう?」
 節子がニコリともせず、そう切り返した。
 
 健康を気にされている父、浩太郎は新聞に目をやって押し黙ったままだ。
 

 「それにしても、ぶっそうな街になったもんやなあ・・・」
 息苦しさを感じた浩司が話題を元に戻した。
 「最近は小さい娘を狙う変質者もおるて聞きましたわ・・・。北村さんの美紅ちゃんも狙われはってんて・・・」
 真奈が声を潜めて言った。
 「あの子は3歳か・・・それやったら、うちの美宇も危ないんとちゃうか?」
 「まあ今のところは大丈夫やけどね、美宇はまだ6カ月やから・・・」
 奥の間でスヤスヤ眠る美宇に目を細めながら真奈が笑った。
 
 「けど良い環境で育てるのは大事やからな。今から真剣に考えとく必要はあるな」
 「そらぁ、そやね。やっぱり美宇にはのびのび育って欲しいもんね」
 「ほんだら明日、会社帰りにでも不動産屋に寄ってみよかな・・・」
 とんとん拍子で進む、いささか芝居がかった二人の会話に節子が割り入った。


 
 「フン、私らと別居したいからて美宇をダシにしてからに・・・、あの子はネコや(!)っちゅうに!」
 

     (※・・・・・・美紅ちゃんもネコです)
        
        ――― おしまい ―――