掌編小説 ランキング
車体:そもそもランキングってのは数で決めるもんだからよ、自さんや転さんのファミリーの方がもうすでに上にランクされている。俺たち車ファミリーなんか数が少ないから不利だよなあ。
自覚:ま、私たち自ファミリーは数も多い。でも、皆それぞれ一生懸命頑張っているんですよ。数だけで非難されるのは心外です。
自学:そうだそうだ。勉強勉強、勉強が大事。
自画自賛:そうやって、私たちファミリーはやってきたんです。一生懸命努力してるんです。そこも見ていただかないと。
車輪:ほらもう、数で押しているじゃないですか。
転回:でも努力以前に持って生まれた気質があって、私たち転ファミリーは華やかさが無いからねえ。イメージが良くないので損していると思う。
転倒:そうだよ、どつかれたり笑われたり。不当な扱いを受けている。ほら。お前も何か言え!
転た寝:ぐ~、すぴ~。
自慢:オレたち仲間の数で押しているように見えるけど、自立や自己、自我、自主と皆それぞれ一本立ちしているよ。
転換:でも目立ち過ぎ。
自制:じゃあ、目立たないようにしますよ。自学自習などは馴れ合いと言われるから無くす。自業自得だって? まあ、ここは落ち着いて話しあいましょう。
自棄:あーあ、腹減ったなあ。
自制:自棄君、まじめにやりなさい。
自棄:はーい。あ、自暴君、こっちにこないで!あんたがくるとやっかいなことになるから。
車検:誰かが公平なシステムを考えてくれるといいんだけどね。
自愛:皆さんそれぞれプライドあるし。
転落:ああ、面倒だ、皆勝手にしろ! オレ帰る!
転嫁:まったく面白くない。誰だこんな集まりを開いたのは!
転入:転嫁さん、もっとおおらかに行きましょう。
車載:でも転ファミリーさんって動きがあっていいですねえ。素敵ですよ。
転入:車載さんありがとう。オレ車ファミリーに入ろうかなあ。
転出:じゃあ、オレも出ていく。
車椅子:いいなあフットワークの軽いひとたちは。
自動車:フットワークは任せて、オレ自と車の両方に入ってるけど、そもそも無理に分けることないんだよ。
自由:いいねえ。もっと交流があった方がいいね。
その交流の結果、すばらしい乗り物が出来た。
それは 自転車だ。
おしまい
作品名:掌編小説 ランキング 作家名:伊達梁川