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謎の人、パチンコ屋に現る。

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私の住んでいる町の隣には繁華街がある。その繁華街に行く時は近いので自転車で行くことが多い。
 当然、自転車を道に留めるのだが、今まで留めていた所が最近混んでいて置き場がない。そこで私はその近くにある、パチンコ屋の自転車置き場に置くようになった。
 ところがである。事件は次々と発生しだす。私の自転車は前と後ろにカゴが付いている、いわゆるママチャリなのだが、ここに必ずと言っていいほどゴミが入っているのだ。
 私はその度に怒る。怒って、仕方なく隣の自転車のカゴにゴミを移す。しかしこの間、またゴミが入っていた時に隣のバイクに二十代ぐらいの男たちがたむろしていた。もしやこいつらが入れたのでは? と私は思った。そして警戒した。
 反対側の自転車にこのゴミを入れたいが、「オレの自転車に何すんだよ」とからまれても困る。また逆に、犯人でないのに自転車がこの人たちの誰かのものだったら申し訳がない。
 そういう状況だったので私はしぶしぶそのゴミを、そばのコンビニまで捨てに行ったのだ。何か油ものを包んでいたような、きったないアルミホイルを。
 私は悔しかった。いつもはなんとかマイナスを解消するのだが、それが出来なかった。つまり、私の負けである。マイナスの状況にさらにマイナスが降りかかり、私は敗北を喫したのだ。
 そこで、である。私は考えた。
「復讐をしよう。今までの分もまとめてだ」
 私の頭は悪循環に陥ってしまったのである。そして、どんな復讐をするかを練りに練らせていただいた。そして思いついたのがこの方法だ。
 復讐をするといっても、感じの悪い復讐はいけない。あくまでイタズラをされた側が、友達なんかに話した時に盛り上がれるものでなくてはならない。そこで、こういうのはどうだろうか。
 まず、メモを用意する。そこに、ある言葉を書く。それをほかの自転車のサドルにセロテープで貼り付けるのだ。まず考えたのはこういう言葉である。
「パチンコをやるぐらいなら親孝行をしろ。親がパチンコ店員ならパチンコしろ」
 これを貼られた奴は、きっと親孝行かパチンコをするに違いない。私は半分、不良を改心させるわけだ。復讐でありながら、心に沁みてくる。優しさあふれるいやがらせである。
 次はこれ。
「パチンコはバカがやる遊び。でも、バカに憧れている奴はやらない遊び」
 バカになりたい、という人がいる。バカになれたら楽だろうな、という人がいる。じゃあパチンコやれば? と言うと嫌だと言う。そんな賢い奴は一生バカになんかなれない。褒めてるかけなしてるか分からない意味不明な言葉である。
さらに続いてこちら。
「真面目に働け。パチンコ玉を追いかける視力があれば、仕分けのバイトが向いている」
 おおそうか、オレは仕分けの仕事に向いていたんだー! と思う奴はいないだろうが、一応考えてみた。そいつは求人情報誌に手を伸ばしかけるかもしれない。伸ばしかけた手に女の子の手が当たり、恋が芽生えるかもしれない。人生を変える可能性もある重要な言葉なのだ。
 最後はこれで締めよう。
「パチンコやめますか? それとも人間やめますか? それとも競馬始めますか? 馬なら○○競馬場。駐輪場もございます」

 メモ帳も買った。セロテープも買った。準備は整った。さあ、いざゆかん! 
待ってろ、パチンコオタク共! オレは、借りは返すつもりだ!