with house
ふと目を覚ますと、ガラス越しに光が見えた。それが、人工的な光なのか?その反射なのか>はたまた、人工的な光に映る眼のようなものか良くわからなかった。あたりは暗く、まだ、人の足音も、新聞配達のけたたましいバイクの音も聞こえない。
きっと、まだ明け方はやい時間なのだろう。クリスは、ソウ思って、再び深い眠りについた。
2.
クリスが再び眼を覚ましたのは、あたりも大分明るくなって、朝早い、ジョギングランナーや、大嫌いな犬どもの散歩する小心者的な泣き声の中だった。時間はわからない。
外はいつものような晴れやかな空だった。ふと、もの音に眼を凝らすと、隣のマンションの駐車場から、野良猫のボスが出てきて、こちらを睨みつけていた。ボスというのは、かってにクリスがつけた名前で、野良猫だから、実際に名前があるか無いかはわからない。ただ、その白地に灰色の縞模様の少し小太りの体型は、貫禄十分で、ボスという名前は当たっていると思った。
野良猫の世界でも、上下関係や縄張りがある。ボスがボスでいつづけるには、面倒見とどきようと多少の見栄が必要だった。ボスには、その要素が備わっていた。
店で暮らすクリスは、家ネコである。いわゆる野良猫の悲哀も試練も知らない。良く言えば、純粋無垢。悪く言えば?恐いもの知らずのと頃が熱田。そして、若いネコたちと同じ、好奇心も火山のマグマのように、グツグツと燃え盛っていた。
作品名:with house 作家名:nyasuke