小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ツイン’ズ

INDEX|8ページ/30ページ|

次のページ前のページ
 

 そんな感じで(どんな感じだ)俺は美咲に俺は学校のどこかにあると噂される、学校非公認の妖狐ちゃん研究室での出来事からここまでの経由について話した。案の定、美咲はすぐに理解した、さすがだ話の進行っていうものがわかってる。
「わかった……じゃあリビングのソファーね」
「はっ?」
 意味不明の何の脈絡もない一言、話にはつじつまってもんがあるだろ。
「毛布くらいは付けてあげるから、ソファーで寝て」
「…………」
 家に戻れない以上、泊めてもらえるだけいいとしよう。
「じゃあ、おやすみ」
 早っ! 美咲はそう言うと俺を部屋から追い出そうと背中を押した。
「あ、あ、ちょっと」
「だって、明日学校でしょ早く寝なさい」
 時計にふと目をやると、今はこの部屋の時計で3時ちょい過ぎ……寝よ、明日がつらい。
 俺は1階のリビングのソファーの上でいろいろ考えた。今日起きたこと……でもすぐ寝た。だって疲れてたから。

 朝が来た。すぐに来た……寝たのが遅かったから、でなんだかんだで美咲といっしょに学校に登校中――。ちなみに俺は一度家に帰った。
 自転車に乗りながら二人で登校していると、学校近くの交差点で同じ学校の生徒(制服で判断)が学校のある方向から引き返してくるのを見かけた。あれは誰だとか、思ってたら。――あれは、あいつか……はぁ。
 俺らに気づいた彼女は?自ら?声を掛けて来た。
「ぉはよぅ……」
「あっ、おはよう宙[ソラ]ちゃん」
 美咲があいさつを返したのは同じクラスの見上宙[ミカミソラ]、すっげー変わり者(絶対電波系)で俺はけっこうー苦手。
 宙は俺のことをまじまじと見つめると何かを言った。
「時雨くん…ぁなた…ん」
「何、聞こえない」
 彼女の声は小さくて聞き取りずらい。そんな彼女の変わりにしゃべってくれるのがこいつ、
「今日のオマエは半分ダ」
 とまぁ変な腹話術っぽい声が……。この声は何かというと宙の操る腹話術人形のアリスの声だ。人としゃべるのが苦手な宙の変わりにしゃべってくれる人形なのだが……どっちも宙じゃんみたいな。
「はっ……!?」
 って今の宙の発言! 俺はちょっとびっくりした。こいつ鋭い……というかやっぱこいつ電波系だ。半分というのはつまり、俺と俺’の分裂のことを言っているのだろう。宙の頭から出ているアンテナはダテじゃないな。本当は2本ぴょんって出ている前髪なんだけど。
 そんなことを思っていたら宙のアンテナがピンと反応した、お前はきた○うか!! って突っ込みをいれたいとこだが、これはもしや何かが起こる前兆か!?
「来る……」
 宙が小さく呟いた。美咲がその言葉にすぐさま反応した。さすがは運動部だ。
「来るって何がよ」
 宙の変わりにアリスが説明してくれた。
「オマエの片割れが来るゾぉ〜」
「何ぃっ!!」
 ビックリした俺は取り合えず、後ろから殺気を感じたので、バッと後ろに勢いよく振り返った。その時……。
「はーはははは、見つけたぞ直樹♂」
 スピーカーを通したデカイ声、俺は度肝を抜かれた。いや、俺の目線の先に立っているのは俺’だったんだけど、乗ってる乗り物が……俺’がその肩に乗っている……巨大ロボぉ〜っ!! ヒーローものか!!
「あれって巨大ロボだよな」
 俺は思わず巨大ロボを指差して美咲に同意を求めた。
「ヒーロー特撮みたい」
「わ〜ロボットダ、ロボットダ」
「アリス……ぅるさぃ」
 ……自分で言って自分でつっこんでる。
 スピーカーからノイズ交じりの声が朝の静かな住宅街に騒音を鳴り響かせる。
「直樹♂、今日が会ったが100年目」
「昨日会ったろ」
「……っそんなことはどうでもいい、今日はお前を抹殺に来た」
「はっ!?」
 いきなり抹殺ってなんだよ。人殺しは重罪だぞ。しかも話の流れが速くて、言動に何の脈絡もない、3流だ。
 俺’は左手を胸に当て、右手をピンと斜め上に掲げた。
「私、時雨ナオキはここに世界征服をすることを宣言する。というわけで分身の直樹♂には消えてもらう」
 訳不明だ……なに言ってんだこいつ、いきなり現れて世界征服……? しかも俺を殺すってどういうことだよ。そーとーこいつも俺といっしょでノリで生きてるな。このノリ星人が!(意味不明)
「直樹♂さらばだ、君ことは忘れない……行け、タロウくん3号ロケットパンチだ!」
 俺はとにかくビビったので目を強くつぶった。
「…………」
 しかし、ロケットパンチは発射されなかった。こけおどしか、それとも故障か?
 俺’が急に真剣な顔になり一言、
「しばし待て、発射には時間がかかる」
 俺’が待てと言ったのでなんとなく待ってみた――。その間ちょっと考え事をした。どんな考え事かって? それはだ、タロウくん3号ってネーミングはどうかと思うってこととタロウくんと言えば玉藻先生……もしかして玉藻先生の作品か? などといった感じ。
「待たせたな、それでは発射だ!!」
 轟音とともに巨大ロボットの手が飛んだ……俺に一直線だ、これはやばいマジで死ぬかも。てゆーか何で律儀に待ってたんだ俺は?
 でもノロイ、亀さんよりもスピードが遅い、これなら余裕で避けれる。俺は自転車にまたがっている、俺の勝ちだ! と思いながらも美咲と宙のことが気になり、
「逃げろ二人とも!」
 と声をかけてみた……のだが美咲いないじゃん。唖然としてしまった俺にアリスが、
「美咲ならガッコー遅行するからって先行ったゾ」
 なにぃって、じゃあなんでここにアリスが、もとい宙がいるんだ。
「もう行った……」
 宙の奴俺の心を読みやがったな……ってこれも読まれてるのか。いやそんなことより、もう行ったってどういうことだよ。
「ガッコーは吹っ飛んでたゾ、だから帰って来た」
「はーははは、それは私の仕業だ、私がこのタロウくん3号で吹っ飛ばしてきた」
 横から口出しありがとう俺’。
 そうか……これでなぞが解けた……だからタロウくん3号の片手がなかったのか。うん、納得って納得している場合じゃないだろ、ようするにロケットパンチの攻撃力がそれほどのものってことだろ、やばい逃げなきゃ――。
「……って、うっひゃ〜、もう目の前まで来てんじゃん」
 あられもない声を上げる俺の前にはタロウくん3号の放ったロケットパンチはもうそこまで迫ってきていた。死ぬ、これ絶対死ぬよと思った瞬間、奇跡が起きた。
 宙のアンテナ……もとい、宙の触覚……もとい、宙の前髪2本がピンと立ち上がった。そして、宙は無表情のまま巨大ロボットの肩に乗る俺’を上目遣いで見た。
「ワタシに牙を向けるなんて……身の程知らず(死)」
 ロケットパンチが俺、てゆーか宙に当たる瞬間、物理の法則に逆らってくるっと曲がった。ようするに進路を180度回転して俺’の方へと飛んで行った。……恐るべし電波娘見上宙。

 全てのモノには終わりがくる――のか?
「何ぃ!! ……タロウくん3号逃げろ!!」
 私は叫んだ。そして、私はこの時死というものを覚悟した。……まさかこの私が戦いに敗れるとは、しかし奇跡は起きた。起きなきゃ死んでた。こんなノリの話に死者が出るわけがないだろう……たぶんだが。
「……人殺しは重罪。by直樹」