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サプライズ

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 楽しい時間がたつのはやはり早いもので、いつの間にか店長との約束の時間が近づいていました。私は店長さんの手を煩わせるわけにはいかないと思い、簡単な後片付けを始めました。店長さんはしなくていいと事前に言っていましたが、やはりそういうわけにはいきません。こういうことは後輩である私が率先してやらなくては。そうして私が作業をしていると、同期の方が数人ほど手伝ってくれました。そのおかげで後片付けは思ったよりも早く終わり、その後私は同期の方と談笑を楽しみました。
 そして、そろそろ喫茶店を出ようという頃、笹田さんが立ち上がり、
「みんな、今日はありがとう。すごく楽しかったよ。ただ最後に、この場を借りて言いたいことがあるんだ」
 と宣言をしました。楽しんでもらえたのは良かったですが、いったい何を言いたいのでしょう。すると笹田さんは私と目を合わせると
「生純さん」
「はい、何ですか?」
「実はずっと前から生純さんのことが好きだったんだ。どうか俺と付き合ってください」
 私は頭は真っ白になり、その後体の内側からじわじわと体温が上がっているのを感じ、笹田さんの言葉の意味を理解したときには、嬉しさか恥ずかしさかのあまり自分のりんごのように顔が赤くなっていました。告白をした笹田さん自身も顔が赤くなっており、恥ずかしさからか軽く目を逸らしています。
 周りの部員たちは突然の出来事に呆然となり、沈黙が流れ、しばらくすると現状を理解したのか、少しのざわつきの後、再び沈黙が流れました。今度の先程のときとは違い、皆さんが固唾を呑んで私たちのことを見守っていることを肌で感じます。
 当人である私はこのように告白されたのは初めてなので、どのように応えて良いのかがまったくわかりません。私は直立不動のままで、けれどの頭の中では慌てふためており、胸の動悸は治まることを知りません。どうしたらいいのでしょうか。私も気持ちを素直に伝えれば良いのでしょうか。困り果てた私は店長さんのほうを覗き見てしまいました。そこで私と目が合った店長さんは、いつものように、微笑んでくれていました。
 そうですよね、私は自分の気持ちを素直に伝えるべきですよね。ありがとうございます店長さん。私は小さく深呼吸をすると、笹田さんの目を見て応えました。
「ごめんなさい!」
 ちゃんと伝えました。これでいいんですよね、店長さん。
 そう思いながら見た店長さんは、いつもと違い、唖然とした表情を浮かべていました。
作品名:サプライズ 作家名:A.S