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Lie...

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いつだったか、君に言ったよね。
 僕の特技はダンスだと。
 あれは、真っ赤な嘘だった。
 運動なんて、大嫌いだった。

 いつだったか、君に言ったよね。
 僕の趣味はギターを弾くこと。
 あれもほんとは嘘なんだ。
 ギターの弦が何本あるかも、ほんとはわかっちゃいないんだ。

 いつだったか、君に言ったよね。
 将来の夢は医者だって。
 あれだって嘘に決まってる。
 勉強なんてできないことは自分でちゃんとわかっていたさ。

 180センチの身長も、子供に好かれるってことも、君に教えた年齢だって、全てしっかり嘘なんだ。
 あの日。夕暮れ。別れ際。
「じゃあ、また明日」
 と呟いた。
 あの言葉さえ、呆気なく。
 笑えるくらい、呆気なく。
 嘘、になってしまったね。

 君との会話を思い返してようやく僕は気がついたんだ。
 僕が語った全てのことが、偽りでしかなかったことに。

 一つくらいは嘘じゃない、ほんとの言葉があっただろう。
 何度も何度も考えて。
 やっと一つだけ見つかったんだ。

 君はまだまだ知らないけれど。
 君の日記の最後のページ。
 大好きだって、落書きの。
 あの言葉だけは、嘘じゃないから。
作品名:Lie... 作家名:依織