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ラビリンス

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でないと死んでしまう。その危機感が体中を駆け巡る。
ブリュケンは妖艶に笑う。魔王とサファイルは、距離を取ろうとした瞬間。
「そこまでです。陛下、勇者」
現れたのは、芸術作品かと見まごう程の魔族の男。魔王よりも美しいかもしれない。
浅黒い褐色の鍛え上げられた体躯は芸術作品、目は冷え切ったアイス・ブルー、艶やかな青い長い髪。漆黒の軍服には、魔王軍の紋章。黒い山羊のような角に腕のような翼が2対。
魔族は美しさと気持ち悪さがこうも重なりあったやつらが多い!!
サファイルはそう嘆きながら、半ばやけ気味に睨む。すると芸術作品のような男が笑った。
馬鹿にしたような、少しさびしそうな笑みで。この男も何故笑う??自分はそんなにもおかしいか??
「ディルサイス!久しいな!!」
魔王が子供のようにはしゃぐ。それをみたブリュケンは、驚き呆気にとられた。それは、サファイルも同じだ。
「えぇ、お久しぶりでございます。ダキュネス…おはよう」
「あぁ。」
二人は嬉しそうに笑いあう。
ほったらしか!!サファイルは心の中でつっこみながら構えを崩した。
ブリュケンも苦笑した。その場に和やかな奇妙な空気が満ちる。
サファイルは溜息をつき、座り込む。その光景が目に入ったのかディルサイスが近づいてきた。
背は魔王よりも高く、顔半分高い。その背丈にあの美貌であるから、かなりの迫力だ。
「俺は魔王ダキュネスの目付役であり、側近。魔王の従兄弟にあたる、今回の働きご苦労。勇者よ」
その声は毒薬のように甘ったるい低い声だ
魔王の声が重さがあるが、こちらにあるのはあざけりに近い重さ。
妙に偉そうだが。少々、癪に障る。
しかし、なぜ自分が勇者と呼ばれる?自分は女だ。勇者は男で剣の才に恵まれた正義感の強い青年だったと聞く。
ディルサイスは困惑するサファイルをよそにブリュケンに強い口調で言い放つ。
「この売女めが!貴様は自分の身分を理解していないのか!!!!!!!!」
ブリュケンを怒鳴りつけるとブリュケンは、怯える。その様子にダキュネスとサファイルが首をかしげた。
ディルサイスはダキュネス達にブリュケンが己の使い魔であることを教える。
このあとから多くの事件が起きることをサファイルは、予想していない。
いや、出来ないであろう。

自分が勇者の来世であり、魔王の妃となり魔界を統べる女王『偉大なる母』と呼ばれることを。
今、過去の涙に溢れた川は枯れ果て、笑顔の花が咲くことを・・・
作品名:ラビリンス 作家名:兎餅