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ヴェリール
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novelistID. 39054
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「秘事は冬の真夜中」~天使の羽のヴァニス / 野原の書より

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「ぅ、うん、僕の故郷の言葉で---愛しい人---っていう意味・・・」


初め‘ケリダ’と聞いた時は、ピンッとくるものがなく、形式的にその意味を聞き返しただけの氷の猫でした。

ただ、出てきた言葉の意味よりも、そもそも名前を付けられる事の意味すら分からなかった自分に

恥ずかしがりながらも答えてくれたディディカが何故か嬉しくなりました。

ずっと森にひとりきりで寂しかった彼女の心が、彼を求めていたのかもしれません。


「ケリダ・・・、うん、いい名前。これから私は、ケリダ・・・」


そんなケリダの気持ちを悟ってか、こうして、ディディカの逢瀬は始まりました。

ディディカは樹氷の森のケリダに近い木の根元を掘り、そこを寝床としました。

夜毎、現れるケリダとカタロニアの話やヴァニラ・フィールズの話をしました。

そして、夜明け前。

ケリダの詩を聞いては眠りに就くのでした。