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Blue

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Blue





放課後、
快斗は近くの図書館に向かった。
手に取る本は『KID』関係。


――ある晩、いつものように予告状を出し姿を現した怪盗KID。
だがその晩を境にKIDは姿を消した。
KIDの盗み出そうとした宝石は割れていた。――

どの本に書かれている内容も似たりよったり、
はっきりとKIDが居たと書かれた本は無かった。

これといって収穫が無く、机に項垂れていると前の席に居た人の忘れ物だろうか、
本が一冊置かれたいた。


『ヴァンパイア』


なんてマニアックなんだと、興味本位でめくってみる。

「これこそ空想の世界だよな。」


――ヴァンパイア、吸血鬼、ドラキュラ。
多くの呼び名をもつ彼等は確かに存在する。
だが、実態は無いと言ってもいいかもしれない。
彼等は体を霧に変え、蝙蝠に変えることが出来るのだ。
それでも普段の姿は人間とまるで変わりない。

とても美しい生き物だ。

そして寂しい生き物なのだ。


私が初めて出会ったヴァンパイアは泣いていた――



「馬鹿馬鹿しい。」

読むのが面倒になり、パラパラとめくっていく。
するとこの本の作者のスケッチなのだろうか、イラストが載せられていた。
そのイラストに思わず、手を挟みこんだ。

そこにヴァンパイアとして描かれた一人の青年の姿は、確かに人間。
それはいたって普通だった。だがその青年の着ている服に驚いたのだ。
怪盗KIDの衣装に瓜二つだった。

写真ではなくイラストのために、細かい部分は分からなかった。
だが、これはきっとKIDの衣装・・・。

「・・・なんで・・」

背表紙を振り返り著者を確認する。
そこには『kaito』と書かれていた。

「・・・・・カ・・イト?」


全身に鳥肌がたった。
こんな偶然はあるのだろうか・・・・・




快斗は図書館を後にした。
家までの道を歩いていたところで、家に誰も居ないことを思い出した。
作るのも面倒なのでコンビニに寄る。
その頃には、すっかり太陽は姿を消していた。

家が見えてくると、
玄関の前に人影があった。

誰だろう・・・

インターホンを押すでもなく、ただ立っている男の人。
全身黒ずくめで帽子を被り、手にはこれまた黒い傘。
どこからどう見ても怪しいその男の対処に悩む。

でも何故か俺はその場を離れようとか、
警察に通報しようとかは思わなかった。


快斗は意を決してそっと近づいた。


「・・あの、」


「・・・・・ぁ・・」


「・・何か用で・・・・・ぇ・・」



振り返った顔を見た瞬間、
頭がパンクしそうになった。

何度も見てきた夢が早送りで再生されたかのように頭を駆け巡り、
先ほど見た本のイラストがにこりと微笑んだ。



「・・・・KID・・」



「・・・・泣く・・なよ、」



目の前の男はいきなり涙を流し始めた。


作品名:Blue 作家名:おこた