耳たぶチャッカマン
耳たぶチャッカマン
「花火をしましょう」
先輩がそう言って、僕を無理矢理に家から連れ出したのは、七月になったばかりの、土曜日の夕方だった。
「まだ、早いんじゃないですか」
きっと僕は渋い顔をしていたのだろう。先輩は、そんな僕をあやしでもするかのように、朗らかに笑って、小ぢんまりとしたビニールの袋を差し出した。
「いいの、花火はいつでもきれいだから」
それは理由になってないんじゃないだろうか。僕は別段、季節感だとかいうものを重んじるわけではないけれど、先輩の現状を考えれば、やっぱり花火をするのはおかしい気がした。
「花火をしましょう」
先輩がそう言って、僕を無理矢理に家から連れ出したのは、七月になったばかりの、土曜日の夕方だった。
「まだ、早いんじゃないですか」
きっと僕は渋い顔をしていたのだろう。先輩は、そんな僕をあやしでもするかのように、朗らかに笑って、小ぢんまりとしたビニールの袋を差し出した。
「いいの、花火はいつでもきれいだから」
それは理由になってないんじゃないだろうか。僕は別段、季節感だとかいうものを重んじるわけではないけれど、先輩の現状を考えれば、やっぱり花火をするのはおかしい気がした。