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鬼城 地球
鬼城 地球
novelistID. 15205
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Ambassador of chaos K  眠らされた剣

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まだ、肌寒さが残る春……
とある路地裏の花屋の花たちは、たまに入る光を受けて少し輝きながらその寒さに耐えていた。

「寒い……もう四月になるっていうのに寒過ぎるよ!」

 両腕をさすりながら、その外の花の様子を見に来た青年が来た『S』である。

「ねえ、K……そう思うだろ?」
「ん……ああ、そうだな」
「うわあ、生返事……」

 生返事だったのに不満の声をだしたSに対してKは、読んでいた本を閉じ今度はちゃんとした声で答えた。

「だが、自然の力には到底叶わない……それが人間だろ?」
「その答えも前に聞いたような気がする……」
 
 ため息をつき、外にあったカーネーションを軽くつつきながら形を整える作業に入ったS。

「あともう少しだ……そうしたら、桜が咲く季節になるし……この花屋にある花たちも元気な色になってくさ」
「ねえ、Kってハッカーだよね? なんで花が好きなのさ?」
「世の中に花の好きなハッカーがいて悪いか?」
「いや、そうとは言っていないけど……」
「綺麗な物の中に混じってしまえば分らない……どんなものでも」
「綺麗な物に混じった……混沌、か」

 そうやってSがつぶやいたとき、Kが思い出したかのようにこう持ちかけた。

「なあ、S……京都に行かないか?」
「なんでまた? 【そうだ、京都に行こう】的に言ってくるじゃない」
「桜を見たい……そう思ったが……だめか?」
「桜かあ……いいね、京都の桜! 俺見たことがない!」
「決まりだな、それを目指して寒さに耐えろよ?」
「勿論!」

 なんだか、上手く乗せられてしまったようなSであったが……実際Kは、本当に京都に行きたがっていた様子であった。

 だが、それが桜の季節に幕開けしてしまった騒動の時に京都へ行くことになってしまう。
ただ、二人は桜の咲く時期を寒さに耐えながら花たちと一緒に待つしかなかったのだった。


桜咲く四月を……