小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

チーン!

INDEX|1ページ/1ページ|

 
外は昼過ぎから冷たい雨が降り続いている。

その年老いた男は最近一緒に暮らし始めた「彼女」を待っていた。

「彼女」はある日突然男の部屋に現われた。そして当然のように彼の部屋に居座るようになった。彼は最初、当惑しながらもそれを受け入れた。そして、今や「彼女」なしには生きられない自分を感じ始めていた。

「雨に降られたりして大丈夫だろうか…あの子は傘も持っていないし…」
「彼女」のためにドアはいつも開けてある。

やがて「彼女」ははじめて来たときと同様にすっと玄関に立っていた。
「やぁ、お帰り。寒かったろう。」
彼は急いで乾いたタオルを取りに走って、タオルに「彼女」をすっぽり包んで濡れた体を拭いた。
「お前、お風呂は苦手だったよな…」
すっかり水気を取り去っても「彼女」の震えは止まらなかった。

「そうだ…これはどうかな。待ってなさい、すぐ温かくなるよ。」
「ミュゥ〜…」

荷物もほとんどない彼の部屋におかれた真新しい白い箱。それは、日々の生活で自分の食事や「彼女」のミルクを温めるために重宝しているもの…

彼はその白い箱の中に「彼女」を入れてつまみを回した。

                     −チーン!…−

                          
作品名:チーン! 作家名:神山 備