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「レイコの青春」 22~24

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 しかしその一方で、園児の父兄たちのアンケートからは
予想に反するような意外な結果が次々と出てきました。
回答をしてくれた28名のうちの、半数以上が、
「なでしこ」による認可保育園の設立には消極的な回答が寄せられます。
その意義には同意できても、建設運動までには、
まだ参加は出来ないという意見がほとんどを占めました。


 「必要性を認めることと、
 必要な物を作りだすために行動を始めるというエネルギーは、
 似てはいますが、根本的にはまったく別ものです。
 結論は急がずに、一人一人とじっくりと会話をすることが、
 これからの先での合意つくりのために、大切なことだと思います。
 ゼロ歳児の保育で、なでしこを利用するということと、
 ゼロ歳児の保育をするために認可保育園を設立するいうことは、
 現段階では、まったくの別問題です。
 あせることはありません。
 ひとつづつ確実にクリアしていきましょう。」


 園長先生が、アンケート用紙を一枚ずつ手に取りながら
落胆気味の美千子と靖子へ、そう声をかけました。



 「皆さんはもっとたくさんの、
 協力的な回答を期待していたのでしょうが、
 現実はそれほど甘くないということでしょう。
 でも、悲観する必要もありません
 運動はまだ、何ひとつ始まっていないのです。
 もう皆さんは、大変な距離を走ったように感じているでしょうが、
 ほとんどの父兄さんたちは、まったく初めて聞くお話です。
 なでしこの、認可保育園つくりは、
 実際には、まだスタートラインにさえ着いていません。
 何かを作り出す時と言うのは、そんなものです。
 ここから始まる、小さな歩みの一歩ずつが
 なによりも大切になるのです。」


 とても大きな仕事になるはずですから、
スタートをあせらずに、まずは体験談を聞いてもらってから、
その先を考えてみたらどうですかと、園長先生が
笑顔で締めくくりました。