「レイコの青春」 19~21
しかし、予想通りに、最大の難関が
通信教育を始めたばかりのレイコの前に立ちふさがりました。
「ピアノ」です。
保育士資格を始め、幼稚園教諭免許、小学校教諭免許などの取得には
ピアノを弾けることが求められています。
保育士資格を取得できる大学や短大でも、ピアノの単位取得は必須です。
学校からは、ピアノ学習のための教科書、例えば「音楽Ⅰ」とか
「音楽Ⅱ」といったようなものが郵送されて届きます。
音楽の理論については、テキストや参考図書を見るなどして、
与えられた設題でレポートを記述して、
合格することで履修することができますが、
ピアノの実技となると、そう簡単ではありません。
通信教育なので、基本的には家でピアノの練習をします。
通信制の学校が通える範囲にある場合は、その学校のピアノを借りて
練習に行くこともできます。
しかし、肝心のピアノをレッスンしてくれる先生は、
自分で探さなければなりません。
既に子どもの時からピアノを習っていたり、
趣味で弾いている場合はよいのですが、
大人になって全く最初からピアノを習う場合は、
信頼できる先生が必要ですし、
それなりの時間も必要になってきます。
ピアノ実技を履修するためには
与えられた課題曲を弾けるようになることを求める学校が多いようです。
テストはスクーリングの中で行われますので、
先生の前でテストの課題曲を弾いて合格ならば単位の履修となります。
「そろそろ、お見えになる頃だと思いました。
今日から特訓を始めますので、
とりあえずは、園のオルガンで弾いてみてください。
それ以降は、幸子のピアノが空いていますので、いつでもどうぞ。
今日からは私が、あなた専属の『鬼コーチ』です。」
にっこりと園長先生が、笑っています。
作品名:「レイコの青春」 19~21 作家名:落合順平