ハイル、アンダーソン!
さて、日本フリークのアンダーソンさんですが、結構おっちょこちょいで、見当
違いの事をやらかしちゃってます。まぁ、「ブルース・リー」をずっと日本人だ
と思い込んでいたところからそもそも彼のおっちょこちょい具合が分かるっても
んです。
日本料理を食べに行った時、箸を使うのが、「うそっ!」と思うほどへたくそで、
全くつかめませんでした。箸をぽろぽろと床に転がす始末。たいていの外国人は、
不器用でも何とか箸を使って食事が出来るので、いつもお世辞で、
「箸が使うのがとても上手ですね」
という言葉を用意しているのですが、彼の場合は論外でした。
あれほど日本びいきを自慢していたのに・・・
すると彼はおもむろにポケットから、なにやらプラスチック製(?)の洗濯ばさ
みのような器具を取り出し、箸の持ち手側の端に取り付けました。それは箸をま
るで、「小さなトング」か「大きなピンセット」の様に変貌させる物でした。
日本では、見かけたことがありません。
彼は得意満面で、
「コレデ、ボクモ、ハシマスター!」
と大はしゃぎ。
(アンダーソンさん、それはもはや箸ではありませんから!!)
その大きなピンセットで、お蕎麦を慎重にすくい上げ、ずるずると音をたててすす
る事が出来ないので、2、3本ちゅるちゅると吸い込んでは、
I can eat them as like Japanese, so it's tasty and also I can feel
Japanese traditional spirit.
(僕は日本人みたいに食べれるから、とても美味しいし、なんといっても日本の
伝統を感じられるよ。)
などと、まるで3歳児が練習用の箸でお子様ラーメンを食べている様にしか見え
ないのに自己満足の極みなのであります。
翌日、生ものも大好きだという事なので、寿司屋に行き、生散らしを注文。
地物の刺身がご飯の上に絢爛豪華に盛ってあります。
Wow! gorgeous! What's this?
(わお! ゴージャス! これは何?)
と聞くので、
It's named 'Nama-chirashi', a kind of Sushi.
(これは「生散らし」といって、お寿司の一種ですよ。)
と教えてあげると、
Oh! Sushi, I know in case of Sushi you don't use chopsticks, it's
Japanese traditional manner.
(おお! 寿司、寿司を食べる時は箸を使わないのが日本の古くからのマナーだっ
て事、僕は知ってるよ。)
そう言うやいなや、彼は「エイッ!」とばかりにどんぶりに三本指を突き立てた
のでした。
周りは大慌て!
アンダーソンさん。あんたはインド人か!!
作品名:ハイル、アンダーソン! 作家名:ohmysky