夏と私と彼Ⅹ
「とりあえず、どこ行く~?」
希がノリノリで男達に聞いている。
もう、こんな奴おいて帰ろうかと思ったが一応親友なので
ついて行ってる。
紹介するのを忘れたが私は、小さい頃から武道を学んでいて
今でも週一は必ず道場に行っている。
だから万が一の時はこんな奴らなんか相手では無いのだ。
「それじゃ俺達が美味しいクレープ屋知ってるから
そこ行こうぜ。」
そういうと私達の手をいきなり握ってきた。
私は、この時点でこいつらをぶっ殺そうと思ったが
私の武道の師匠が、武道という物は他人に見せびらかすものではないと言う
教えを思い出し死ぬ気でこの場を我慢した。
「いいよ~
ちょうどクレープ食べたかったんだよね!」
と希が言う。
おいおい、わが親友よお前の今日の目的は何だったんだと心の中で思いっきり突っ込みながら、しょうがなくついて行く。
向かったクレープ屋は、何だか凄く怪しい所にあった。
まぁ食べたクレープは凄く美味しかったけど・・・
私は希に「そろそろ帰ろうよ~マジで危ない人たちだと思うし!」
と一生懸命伝える。
「そうだね。美味しいクレープも食べられたし、そろそろ帰るか~」
と希も合意してくれた。
「そろそろ私達帰るね。今日はありがとう!」
希がそう言って帰ろうとしたら
「ちょっと待てよ!人にクレープおごらせておいて
何勝手に帰ろうとしてんだよ!
ここまで来たんなら、この後のイベントお忘れじゃないだろうな!」
こうくると思った。
私は、100%こう来ると思った。
「希、帰るよ!」
私は強引に希の手を、引っ張る。
「ちょっと、夏海~」
希はモウ半泣き状態だ。
「おい!無視するなよ!!
俺達と遊ぼうぜ~」
と強引に私達の体をつかんできた。
私は、もうしょうがないと武道の技を使う事にする。
この技は私の武道の師匠が私に始めて教えてくれた技だ。
「源水流第八手、包み返し。」
私は、静かにそして速やかに相手の懐に手を置きこの武道を使った。
「うわ~!何だこいつら!早く行こうぜ!!!」
男達は、去っていき私も一安心する。
「夏海ありがとう。」
希は泣いてしまった。
「どういたしまして。だけどもう二度とあういう男について行っちゃだめだよ。」
私は、希を慰めてこう言った。
「それじゃ、帰って中間試験の勉強しよう!」
「うん!帰ろう。」
私は、この後寮に帰って希に、今日のお詫びとして
反省文を10枚ほど書かせたのである。
だけど何も無くてよかったなぁ。
誰も傷つかないで・・・