貴方へ
いつも人の後始末に一所懸命な貴方。
そんな貴方を私はいつも見守っています。
びしょぬれになっても懸命に歯を食いしばり、
負けまいと頑張るその姿。尊敬しています。
やって当然という目で見られ、失敗したとき
はボロクソに言われ、後ろ指を差される貴方、
さぞ悔しいでしょうね。さぞ悲しいでしょうね。
目が回る毎日を過ごし、それでも芯がある奴と
認める人もなく、ひっそりと最後には捨てられる
日をただ待っているのですね。
「いつもありがとう」と言われる事を願いながら
でも感謝されることもなく、不運な日々を過ごし、
無駄に使われても、文句ひとつなく全てを水に流す
貴方は私にとって愛すべき存在です。
もし、生まれ変われるなら、貴方は何になりたいで
すか?きっと貴方の事だから、やっぱり何度生まれ
変わっても、今と同じ様に、誰に認められなくても、
感謝されなくても、人の役に立てる、そんな存在に
なりたいのでしょう。
でも、私は違います。
貴方の事は尊敬していますが、貴方の様にはなりたく
ないのです。私は、生まれ変わったら綺麗になって、
世界中を旅したいのです。そして、感謝されたい。
生まれた頃の私は、愛に満たされ、皆に愛され毎日
口付けをされて過ごしました。でも、その愛はやがて
底をつき、最後は快適なお気に入りの白い部屋からも
追い出され、暗くて狭いところに他の仲間達と折り重
なる様にして暮らしています。
仲間の一人は、体の上を何度も包丁で切り付けられ、
ボロボロになって捨てられてしまいました。他の一人は、
小学生の坊やに学校に連れて行かれたっきり、戻ってき
ませんでした。
私はどうなるか分かりませんが、最後はやっぱり貴方の
様な人生を歩むのかも知れません。
2週間程の短い人生でしたが、これから第2の人生を狭い
ここで、仲間と共に待っています。
それでは、お元気で。
トイレットペーパーさんへ
牛乳パックより。