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紅葉(くれは)
紅葉(くれは)
novelistID. 37432
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そして私達は夢の中で手を振った

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私は自転車を小道の脇に止めると、タンポポが数本おかれたそこに座った。

 2日前、あの子が死んだ。自動車に轢かれたのだ。
 まだ小学生の彼女は、両親をなくし、近くの祖母の家に預けられたのだという。
 私の家がその近所で、その子とであったのだ。

 まだ名前も教えてもらっていなかった、と今になって考える。
 なにしろ一、二回あっただけだし、少し話しただけだったから。


 目の前でタンポポがゆれる。
 ゆれる。ゆれる。

 「そこにいるの?」
 私がそう呟くと、後ろから返答があった。
 「お姉ちゃん、こんにちは。いい天気だね」

 二つにまとめた髪がさらりと揺れた。

 「私、死んじゃったみたいなんだ」
 少女は少し困ったような顔をする。

 「……何か、やり忘れたことでもあった?」
 「ううん、なにもないよ。あるなら、お姉ちゃんとあまり話せなかったことかな。私の最初にできた、友達だから」

 少女は私の隣に座った。
 「私が死んだ後、白い服を着た人たちがね、もうすぐお父さんとお母さんが迎えに来るからねって。だからきっと、あとちょっと」

 名残惜しそうに少女は言った。



 「ね、お姉ちゃん。もし私が生まれ変わったら、また遊ぼう?私、待ってるから」
 「・・・うん。また、ね」


 「お母さんとお父さんだ」


 そのとき、私は始めてその子の涙を見た。




 タンポポがゆれる。
 気がつくと日が沈んでいた。

 私は自転車をまたがり、家に帰る。


 あれは、夢だったのか。

 まだ暖かい春の夕方、空の上で三人親子が笑った気がした。