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松田ナオユキ
松田ナオユキ
novelistID. 38215
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夢の橋

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朝、目覚めると私は森の中にいました。
ピヨピヨと可愛らしい鳥の鳴き声がし、
木漏れ日が差し込む、すがすがしい情景の中でした。

 何故私はここにいるのでしょうか。
昨日は食事をした後お風呂に入って、ぐっすりとベッドで眠ったはずなのです。

「おはようございます。」
 見知らぬ声がしました。
ベッドの脇を見下ろすとそこに一匹の猫がいました。
帽子をかぶり、ちゃんと蝶ネクタイをして正装した猫です。猫は私にこういいいました。

「あなたは今夢の中にいるのです。
いや、正確にいうとここは現実と夢の中間ぐらいの場所。
世界中の人たちの怖い夢を集めた場所なのです。
ここで誰かがその怖い夢を見る事によって、怖い夢がなくなっていくのです。
そこで今まで怖い夢を一度も見たことがないあなたが選ばれたというわけです。」

「そんな…」
「勝手な事言わないでください。
私を早く元の世界に戻してくださいよ、猫さん。」私は猫にお願いしてみました。

「いいでしょう。
この世界のどこかにある虹の橋を渡ればあなたは元の世界に戻れます。
それでは頑張ってください。」
猫は自分の言いたい事だけ言うとすうぅーとどこかに消えて行ってしまいました。

 私は急いでその橋を探すことにしました。
するといきなり後ろから、大きなクマが襲ってきました。
私は大声を上げて逃げ出しました。クマは後ろから全速力で追いかけてきます。
「ドカッ」私は目の前に大木にぶつかってしまいました。
そのはずみで木の上からハチの巣が落ちてきました。
ハチはクマを見つけると全員でクマめがけて飛んで行きました。

どうやらいつもクマにハチミツを狙われているようです。
クマは大慌てで逃げ出して行きました。

「あ~助かった。」
そう思ったのもつかの間、今度はいきなりカンガルーが目の前に現れました。
カンガルーは前足で私にキックをしてきました。
私は地面に落ちていたクワズイモの葉を楯の代わりにして、
なんとかキック攻撃をかわしながら逃げ出しました。

 すると今度は前方から象が集団で砂埃を上げながら走ってきました。
私は象に巻き込まれないように必死で逃げました。象は案外走るのが速いのです。
全速力で三十分は走ったでしょうか。後ろを見るともう象たちはいませんでした。

そうして私は虹の橋を探して何時間も歩き回りました。

やっと目の前に虹の橋が現れました。

虹の橋はそれはそれは細い橋でその幅は十センチもありません。
下を見ると今にも落ちそうです。
私はまるでサーカスの綱渡りをするように一歩一歩慎重に歩きました。
それはとても長い時間でした。

 そしてどうにかこうにか、虹の橋を渡り終わると、私は目を覚ましました。
そこはいつもと変わらぬ現実の世界のベッドの上でした。

「はぁ~大変だった。どうやら全部夢だったようですね。」
 私はこの現実世界に戻れたことを心から喜びました。
そしてもう二度とこんな夢を見ないようにと心から願いました。

その日はお祝いに、友人達を家に呼び、ワインをあけ、ご馳走を食べて、おしゃべりをたくさんしました。
そうして、ベッドに横たわると私は心地よく眠りの世界に入りました。

次の日の朝目覚めると、私はまた森の中にいました。

そうしてまたあの猫が傍らに立ち、私にこう話しかけました。
「おはようございます。あなたにまたお会いできてうれしいです。」
作品名:夢の橋 作家名:松田ナオユキ