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一期一会

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「蕎麦は大好物なんです」
「じゃあ、お願いします」
早川は車を駐車場に入れた。
そこは土産物屋兼食料品店でもあった。雨が激しく降っていたので店に走り込んだ。さえらが最後になり、中に入ると笑った。ほかの客は誰もいない。窓際の四人掛けの席についた。
「天ざるにしようかな。同じでいい?」
「はい」
「いいよ」
「天ざるを三人前ですね?」
 四十歳くらいの女性だった。奥に向かってそれを伝えた。返事をする男の声が聞こえた。
「ここは日航ジャンボ機が墜落したところの近くですよね」
早川が云った。
「ええ、そうですよ。御巣鷹山は上野ダムの向こうです。本当はその隣の山に墜ちたみたいですけどね」
「そうなんですか。さえらトイレは?」
「行く」
作品名:一期一会 作家名:マナーモード