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冬野すいみ
冬野すいみ
novelistID. 21783
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水世界

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夕陽





美しい夕陽を見たんだ

赤く 赤く 炎のような 血のような空だった

熱く 熱く 冷たく

燃えているのかもしれない

生きているのかもしれない



ああ、ああ、心がないている

叫んでいる

どくり、どくり

鼓動が脈打っている

心の命



涙が流れた

いいや、錯覚かもしれない

もう何もかも分からない

私の存在など曖昧で小さなものだから

けれど、確かに

私の思いは涙となって 心を溶かして流れている


ねえ、ここにいるんだよ

赤い夕陽よ

私はここにいるんだよ


赤い太陽

太陽に向かってどこまでも どこまでも

走ってゆきたいと思った


赤い太陽に焦がされて

赤い命を燃やせたなら


生き物の輝き


夕陽


空はどこまでも ひとり












作品名:水世界 作家名:冬野すいみ