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冬野すいみ
冬野すいみ
novelistID. 21783
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水世界

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静かな終わり






静かにすべてが終わってゆく

夕闇の影と光の中

ゆっくり

私はきらきらと光って散ってゆく

砕けた硝子のように 眩しく鋭利な欠片となって

街の向こう
海の向こう
誰かの瞳の果てに見た世界は
どこまでも続いていて
続いていて
永遠を感じた

人がいて
人が生きて
生きて
生きて

生きて

泣いていた


その泣き声は
まるで産声のようで
赤子の頃から変わらぬ苦しみと 生まれついての叫び
生命の泣き声だった

夢の世界は残酷で
美しくて
人を惑わし すべてを奪ってしまった
儚くて
綺麗だから

涙が出る


ゆっくりとしたひかり
少しずつ世界を染めてゆく
まぶしい
侵食してゆくかげは幻のように悲しくて優しい

永遠は人の心にたしかに生きていて
脈を持ち 生々しい鼓動の音がする
永遠は一瞬の中に光る
輝いた永遠を
熱い一瞬を
つかもうともがいたこの手

それが人の手

静かな終わりの中
人の心は叫んでいる

叫び

光と 影と 太陽
にくい にくい 太陽

溶けてゆく
心も
悲しみも
叫びも

命も

そして強く瞳に思いを灯した










作品名:水世界 作家名:冬野すいみ