水世界
月を崩す
崩れていく存在 震える心臓 いつだって汚されてゆく
足元の水鏡に映った月はたよりなく
それでも確かに眩しく輝いていた
その光に見惚れて
悲しくて
憎くて
月を崩してしまう
その水に映った月を飲みほしてしまいたいのに
眩(まばゆ)すぎてきっと私は消えてしまう
汚れた手でしか生きられない
汚れた心でしか生きられない
綺麗なものに恋焦がれる愚かしさを唾棄し、それでも愛して
汚れた存在を疎んで、愛して
汚れた月を愛している
軽い冗談のようで笑った
泣いてるような笑顔
汚れた泥の中でこそ美しく輝く硝子の光
それは幻か
闇夜の月
この瞳につるりと月を反射して
瞳の宇宙に閉じ込めてしまおう
月を汚れた手で崩した
崩れた月は
汚れた月は
眩しかった