御影山編
エピローグ
「そう言えば、ずっと聞きたかった事があるんです」
「なんだ?」
高級な家具が品良く備えられたリビングのソファに座って新聞に目を通す御影山社長に尋ねると、こちらに視線も寄越さずに返事をされた。
まあ、いつもの事だから慣れてるんですけどね。
「社長はいつから私の事を、その……好きになってくれたのかなあ? と……」
そこで社長は顔を上げ、憐れむ様な目で私を見た。
ちょっと、どうしてそんな目!?
「―――そんな事を聞いてどうする?」
「だ、だって知りたいじゃないですか! 私みたいな何の取り柄も無い女に、社長みたいに素敵で凄い人が、なんて……」
「それを聞いたら何か変わるのか?」
「いえ、変わりませんけど」
「ならば答える必要はないな」
「ええ〜っ? いいじゃないですか! ケチ! ―――わっ!?」
突然社長は私の腕を引っ張って、隣りに座らせた。
じっと見つめられて、私は恥ずかしさでドキドキする。
だって、やっぱり社長ってカッコいいし、見つめられるとドキドキしちゃうよ! だから余計にどうして私なんか、って考えるのよ。
「お前がバカだったからじゃないか?」
「―――は? んっ!?」
とっても失礼な事を言われて、反論しようと顔を上げると、突然口を塞がれた。
強引だけど、すごく優しい口づけ。
ああ〜。なんかもう、どうでも良くなってきちゃった。
始まりはおかしかったけど、頑張ったから報われたのかな? じゃあ、もっと頑張れば、もっと幸せな事が待ってる? 社長、私はあなたに感謝しっぱなしだよ。
ありがとう、大好き。
END