出張こぼれ話
今回の出張、ちょっと変わった事がありました。
羽田へ向かう飛行機で、CAが
「皆様、当機はまもなく着陸いたします。シートベルトを・・・」
といういつものアナウンスが入り、飛行機が車輪を出す音が鳴りました。
外を見ると、「こんなにあるのか」と感心するほどのたくさんのゴルフ場が
どんどんと近づいてきました。
「ああ、もう着くな、さあ、体を起こして頭もスタンバイすっか!」
そう思って大きく伸びをすると、
「ウイーン」
急にエンジン音がテイクオフの時に発する高音に変わり、機首を持ち上げ急上昇
を始めたのです。
(あれ?)
窓の外を見ると、やはり近づいていたゴルフ場や民家も遠ざかり始めていました。
(いつもと違うな)
「皆様、ただ今当機は着陸を中止し、再び上昇を開始しております。
詳しい原因につきましては、後ほど機長よりお知らせ致します。」
というCAの声が・・・・
それから飛行機は左に急旋回をし、私は窓に押し付けられながらガタガタと
揺れ始めた機体に、乗りなれたいつもの動作と違う戸惑いと恐怖を感じたの
でした。
「こんな感じで人生というのはあっけなく終わってしまんだなぁ」
などと考えると急に怖くなり、また、
「こんな所でくたばってたまるかっ!」
という思いも沸々と湧き出てくるのでした。
なぜか頭の中には、円広志の名曲、「夢想花」が鳴り響いていました。
飛んで 飛んで 飛んで 飛んで 飛んで
飛んで 飛んで 飛んで 飛んで
回って 回って 回って まわ〜る〜♪♪
走馬灯のように今までの人生が頭の中を駆け巡ると思いきや、
駆け巡ったのはこんなもんでした。(^_^;)
「えー、こちら機長の○○です。着陸時に滑走路から飛び立とうとしていた
飛行機のエンジンに鳥が吸い込まれ、一時的に滑走路が閉鎖となりました。
管制塔から指示が出るまでしばらく上空で待機しますのでご了承ください。」
というアナウンスが入りました。
飛行機がバードストライクを起こした場合、飛行機の部品や鳥の残骸が滑走路に
残っていると、着陸した機のタイヤがパンクしたり、場合によっては、大事故に
つながる場合があるので、一時的に滑走路を閉鎖し、状況をチェックするのです。
(あー、バードストライクかぁ)
しかも、自分の機じゃなくて、下に居る飛行機なので、安心です。
なにせ、こっちは待っているだけなんですから。
そうなると現金なもので、「いつまでぐるぐる回っとるんじゃい」とばかりに、
そわそわと時計を見、客先との打ち合わせに間に合うか、昼食を食べる時間が
取れるか等、現実的な事ばかり気になるのでした。
飛行機のエンジンに吸い込まれた鳥さんのことを思うと、祈らずには居られません。
ナンマンダブツ。